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The Day Spa (以下TDS):惣流さんは女性誌の編集者をされていたと伺っていますが、エステ・スパ ジャーナリストになったきっかけは何だったのですか?
惣流さん(以下敬称略):編集者だった頃はビューティ担当ではなく、実はファッション担当だったんです。だから独立してからも、ビューティとは殆ど関係の無いページばかり作っていました。エステやスパ通いは大好きでしたが、あくまで趣味の世界。美容マニアの友人たちと頻繁に女子会を開いては「あのサロンは良くなかった」「ここのスパは良かった」と、互いに美容ネタを披露しては盛り上がっていましたね。そのうち、たまたま女子会の参加メンバーから「オールアバウトって情報サイトが、エステ・スパの記事を書けるライターを探しているから会ってみない?」と話がきて。その数か月後にオールアバウトで「エステ・スパ」ガイドの仕事がスタートしました。それがそもそものきっかけですね。
TDS:ということは、その時から「エステ・スパ ジャーナリスト」と名乗ったんですか?
惣流:そうです! 名前や顔写真を出して記事を書いたのはオールアバウトが初めてだったんです。なのにオールアバウトの担当者さんから「うちのガイドは皆さん、“その道のプロ”の方ばかりなんです」と言われてしまって……私まったく有名じゃないけど!?とかなり焦りました。それで、じゃあとりあえずそれっぽい肩書きをつけておくか、とこんな流れで・・・すみません、かなりざっくりしたきっかけで。
TDS:(笑)。惣流さんはご取材よりも、プライベートで国内・海外問わず世界中のスパに行かれる機会のほうが多いんですよね。
惣流:ええ。まずプライベートで出かけて、客として満足できたところに取材を申し込んでいます。この手順が読者に一番近い目線でスパの魅力を紹介できるんです。よく「本当に自腹で出かけてるの?」と訊かれるのですが、そのほうが断然いろんなことが見えてくるから面白くて。スパ側もマスコミ向けの仮面を被ってないから本来の実力で接してきてくれますし、その上で感動体験をさせてくれたところは、一生お付き合いする価値のある素晴らしいスパだと思います。余談ですがそうやって新しいスパやエステサロンに出かけて取材したいところに出会える確率って、常に10軒に1軒あるかないかくらいなんですよ。東京だけでなく、今まででかけた外国のスパもそんな感じ。面白いですね。
TDS:これまで出かけられた中で、特に印象深かったスパやトリートメントの体験などがありましたら、教えてください。
惣流:最近出かけて楽しかったのは、アリゾナにある滞在型スパ「ミラバル・リゾート」です。スパのトリートメントだけでなく、砂漠へのハイキングやロッククライミングレッスン、プロカメラマンによる撮影講座など日本のスパにはない、アウトドア系のアクティビティが実に豊富でした。「部屋は夜寝るだけ」というノリで、朝から晩まで何かしら満喫していましたね。またグループで来ている女性が本当に多くて、時間場所問わずあちこちで女子トークが繰り広げられていました。しかも皆、見事に男性と化粧品の話しかしていない! 女子の話題って世界共通なのねと嬉しくなっちゃいました(笑)
洗練度とスペシャル感に恐れ入ったのは、「ル ロワイヤル モンソー ラッフルズ パリ」のスパ。フィリップ・スタルクが手掛けた床面積1,500平方メートルの空間は、どこもかしこも「白色」とロマンティックなディテールで埋め尽くされていて、もう夢のような美しさ。バスローブを羽織ってプールサイドのソファでくつろぐだけで、とっても気分が上がります。しかもここ、クラランスの最新スキンケアライン「マイ・ブレンド」のフェイシャルトリートメントが受けられるのは世界でたったひとつのスパなんです。マシンによる肌分析で、その日の肌に一番あったオリジナルの美容液やクリームをその場で作り、トリートメントしてくれるのですが、美肌効果はかなり高いです。今年パリに出かけるという友人には、必ずこちらを薦めていますね。
個々のトリートメントに関しては、そこの創始者や開発者の施術を受けた時が最も感動します! 全世界のスパで定番メニューになりつつあるストーンマッサージの考案者、メアリー・ネルソン氏による「ラストーンセラピー」を受けた事や、欧米のセレブ御用達コスメブランド「ビオロジック ルシェルシュ」の創業一族であり開発の最高責任者であるドクターアリューシュに肌診断をしてもらった上でさらに彼自身のフェイシャルトリートメントを受けることができた事は、ジャーナリストとしても一人の女性としても一生涯の財産です。
国内のお気に入りは静岡県・東伊豆の温泉旅館「望水」と高知県・室戸市にある「ウトコ オーベルジュ&スパ」。前者は温泉、後者は海洋深層水のスパなのですが、水そのもののパワーが強いんです。パンパンにむくんでいた足が温泉に入って10分もしないうちにフワフワ状態になったり、海洋深層水100%のプールに浸かっているだけなのに気が付けば顔や体にあったはずの吹き出物が消えてなくなっていたりと・・・あの水の良さは世界中に自慢できるレベルだと思います。日本は本当に水がいいですね。
TDS:国内のスパの話しが出たところで、国内と海外のスパの大きな違いを教えていただけますか?
惣流:日本のスパは海外と比べて規模が小さい、設備も整っていない・・・と指摘される方が多いようですが、欧米スタイルのスパが日本に導入されてまだ10年しか経っていません。生まれたてなわけですから未成熟で当然なんです。でも勉強熱心で工夫が上手な日本ですから、そう遠くないうちに欧米並みのサービスを提供できるようになると思います。
それより私は国内と海外では「利用者のスパに対する意識」に大きな違いを感じますね。日本人は「温泉に行く」時は当たり前のように普段着ですし、日帰りで気軽に出かけたりもしますが、「スパに行く」となると途端にかしこまるというか、何だかとても特別なところに出かける感覚で利用しますよね。でも海外では街中のデイスパだろうがリゾート地のホテルスパだろうが、自分のスタイルはあまり変わりない。使える時間や予算に応じて行き先の使い分けはしても、高級スパだからうんとお洒落して行こうという考えにはなりません。どんなスパに行っても、セラピストや空間に癒されることが一番なんですね。
普段の生活で自己中心的に振る舞ったら、それはトラブルのもとですが、スパは周りからとことん癒してもらって、心身にエネルギーをチャージする場所。遅刻しないとか、うるさい音は立てないとか、常識で考えて周囲が不快に思う振る舞いをしないとか、最低限のマナーさえ守れば、好きなように過ごしていいんです。でも日本人はまだそのあたりの思い切りが少なくて、場所や働くセラピストについつい気を使ってしまう。そこが国内と海外のスパで最も違うところだと感じますね。
TDS:先日アメリカで開催された「グローバル・スパ&ウェルネス サミット」に初めてご出席されたそうですが、いかがでしたか? 今後のスパの方向性として、「ウェルネスとの融合」だとお伺いしました。この「スパとウェルネスの融合」について、惣流さんはどう思われますか?
惣流:「グローバル・スパ&ウェルネス サミット」とは、世界40か国以上からスパ産業に携わる経営者たちや一流スパのトップディレクターたちが集まり、今後のスパ業界を話し合うための国際会議です。参加は厳格な招待制で、選ばれたメンバーたちは会議開催中、それぞれの利益を超えたところでスパの未来がどうあるべきか、どう発展させていくべきか熱い討論を繰り広げます。
これまで非日常的な豪華さや格別のリラックスが得られる場所として人気となったスパですが、GSWSに参加する限り、今後のスパ業界は実を重んじる世間の風潮に合わせ、リラックスや楽しさから健康や美容に関する「目に見える効果」を提供する方向へ舵取りをしていくようです。既に日本でも、あちこちで政府と観光産業がタッグを組み、病院の検診やスパサービスを組み込んだウェルネスツーリズムの開発が進行しています。まだまだ先の事でしょうが、いつかスパが健康産業の中心となり、人々の美と健康づくりにもっともっと貢献するようになる日も来るんでしょうね。とても前向きで良いことだと思いますいから、我々利用者はそういう時期がきたら積極的に利用して、自分の人生に大いに活用していけばいいと思います。
TDS:惣流さんご自身の「ウェルネス」についても伺いたいのですが……ご自身でされていらっしゃる“ボディ・マインド・スピリット”のバランスケアはありますか?日頃気をつけていることや実践されていることなど、あれば教えてください。
惣流:どちらかといえば体より頭を酷使する仕事なので、定期的に体を動かして心身の疲れのバランスを取るようにしています。最近はキックボクシングジムでパーソナルトレーニングを受けているんですが、これが“ボディ・マインド・スピリット”のバランスケアにすごく有効なんです。「殴る蹴る」という激しい行為は普段縁がない分ストレス解消にすごくなりますし、ヘトヘトになるから夜もよく眠れます。体重も体脂肪もスルスル落ちたんですよ!
TDS:それは凄い。でもかなり意外なご趣味ですね。
惣流:私も「自分は死ぬまで“寝たまま美容”でキレイになるんだ」と思っていたのですが、体力が顕著に落ちてくる年齢になって、運動することの大切さが身に染みてきました。年々いろんなところにガタがきますから、健康でいつづけたい思ったら、心も体も均等に鍛えないとだめですね。
そんなクセがついたので先ほど例に挙げた「ミラバル・リゾート」でもずいぶん運動クラスに参加しました。昨年まで滞在型スパに出かけたら寝るかトリートメントを受けるか、の二択しかなかったのですが、これからは世界中、どこのスパに出かけてもその魅力をあますことなく堪能できそうです!
TDS:最後に、惣流さんにとって「スパ」とはどんな存在ですか?どんな時にスパに行きたいと思いますか?またどんなタイミングでどんなトリートメントを受けたらいいかなど、我々がスパを楽しむコツを教えてください。
惣流:癒しをくれるかけがえのない場所でもありますし、新しいトリートメントやアクティビティに出会えば、好奇心を満たしてくれるワクワクドキドキの存在である時もあります。スパは出かけるというよりも第二の自宅。老後はアメリカの滞在型スパのように、分譲している客室を購入して年間滞在したいです。
スパを楽しむコツは「変な遠慮をしない」、これに尽きます!行きたい時に行って受けたいものを受ければいい、その上で例えば部屋の温度やマッサージの強さは違うなと思ったらすぐに伝える、メニューになくても「こんなことはできないかしら」ととりあえず聞いてみる。自分の快楽に正直になると、もっと心地よい時間が過ごせますし、スパとの信頼関係もさらに築けます。世界中どこの国を見渡しても、日本人は周りに気を使いすぎです。スパで過ごす時は自分の気持ちに素直になって、自分自身を徹底的に癒してあげて欲しいですね。
惣流マリコさん プロフィール
エステ・スパジャーナリスト。年間のべ300回を超えるエステ・スパ体験の中から、本当に役立つ情報だけをテレビ、雑誌など各メディアで発信中。
一般消費者の視点、ジャーナリストとして公正なスタンスを保つため、サロンリサーチはほぼ自腹。スパの評価基準は「コストパフォーマンス」、辛口のコメントは業界最恐との評価あり。最近の口癖は「35過ぎたら美容医療も」。
■惣流マリコ公式サイト http://www.flrames.com/plofilr.htm
■連載「オールアバウト(エステ・スパ)」 http://allabout.co.jp/gm/gt/530/
■ブログ「毎日がブライダルエステ」 http://blogs.elle.co.jp/mariko/
■ブログ「恋するエステ」 http://soryumariko.kirei.biglobe.ne.jp/